森永乳業が独自に開発し、特許を取得したラクトフェリンとラクトパーオキシダーゼの混合物『オーラバリア®』に関する論文を読む機会があったので簡単にまとめていきます。
オーラバリア®開発の経緯
超高齢化社会が続く中、死亡率の上位にランクインする心疾患や呼吸器系の疾患の原因の多くは口腔内にいる常在菌だと考えられています。
とくに、歯周病はさまざまな全身疾患を引き起こすトリガーのような役割があり、歯周病を予防することが健康長寿の達成に不可欠であるということが多くの研究から明らかになってきました。
そこで、より簡単に口腔内の衛生状態を改善できる商品の開発に向けて研究が行われたものの中で際立ったのが『オーラバリア®』です。
オーラバリア® 研究材料と方法
実験1
試験管の中で、唾液成分とオーラバリア、歯周病菌を混合し、37℃で約10〜30分間放置した。
その後、混合液中の生きている細菌の数を測定した。
実験2
口臭のある患者4名に対し、オーラバリアを配合したタブレットを1時間おきに舐めてもらった。
摂取前、摂取直後、1時間後、2時間後と口臭測定器で口臭を測定した。
測定する物質は、口臭の主な原因となっている「メチルメルカプタン」とした。
実験3
実験1で使った混和液から遠心分離で細菌を取り除き、残った液の性状を調べました。
調べた内容はタンパク質から口臭の原因となる「システイン」や「メチオニン」を作る酵素がどれくら不活性化されているかを調べました。
結果
実験1
混和して10分後は生きている細菌の数が1/1000まで減少した。
30分後では検出できないくらい減少した。
実験2
「メチルメルカプタン」の平均濃度は人間が悪臭と感じる値をはるかに下回った。
1時間後は濃度が上昇したが、2時間後に再び濃度が基準値以下まで下がった。
実験3
混和して10分経った時点で、タンパク質を分解して悪臭を出す酵素の活性が80%低下したことが分かりました。
この作用は主に「ラクトパーオキシダーゼ」によるものであることが分かりました。
考察
オーラバリアによって、複合的に口臭の抑制ができることが示唆された。
特にこれまでの匂いで隠す従来素材とは違い、悪臭の原因を根本から断つ効果があると考えられる。
食品などへ積極的に添加することで、歯周病や口臭、虫歯などの口腔内疾患の予防につながり健康長寿への貢献が期待出来る。
(図表はすべて森永乳業の広報誌より引用しています。)
論評
実験2の対象者が4名とかなり少ないのが引っかかりました。
またこの少ない中での平均値であるため、摂取2時間後にまた効果が現れたのではなく、誤差によって2峰性のグラフになったのではないかと考えました。
とはいえ、試験管を使った研究では生菌数の減少や酵素の不活化などは確認されているため一定の効果があることはわかります。
これからは、実験対象者と抗菌作用などを測定する対象菌種の幅を広げていくと良いのではないでしょうか。