『歯周病』ってどうしたらちゃんと治せるの??【歯周病専門医】

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このページはお口の中の写真を含む見る方によっては、不快に感じるかもしれない画像を含んでいますので閲覧される際には十分ご注意下さい。

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歯周病って何??

歯周病というのは日本の成人の80%がかかっていると言われる感染症です。

もちろん症状に差があり、軽度から重度まで様々ですが、虫歯と同じく”勝手に治ってくれる事は無い”ので治療が必要な病気です。

具体的には歯を支えている歯槽骨が溶けてしまう骨の病気で、ほぼ痛みがなく進行します。

そして、虫歯よりも歯を失う原因になっている病気でもあります。

歯周病を治療するには??

歯周病の治療方法は治療する先生の考え方や技術力によって様々ですが、ここでは一般的な治療を写真を交えてご説明していきましょう!

ここでお話する治療は全て国民健康保険を適応した範囲内で行える治療法です。

初診時(2011年11月)

まずは下の写真をご覧下さい。

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この方は60代の女性で営んでいる農園が忙しい事もあって、自分が歯周病だという事に全く気づいていませんでした。

前歯のかぶせ物の白い部分が剥がれてしまった事をきっかけに病院に行く事にしたようです。

口臭がきつく、全体的に歯が揺れてプラークや歯石(細菌の塊)もたくさん付いていました。

そして黒く虫歯になっているところもあります。

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また上の写真のように虫歯で歯が完全に溶けてしまったり、前歯の位置が動いてしまってもいます。

前歯が前に飛び出してしまっているのは歯周病によって歯を支える骨が無くなってしまっているからです。

またよく見ると内側の歯茎が膨らみ腫れています。これは歯周病によく見られる症状です。

この状態で歯を磨くと出血してしまうため、怖がって歯ブラシをしない方が非常に多いのですが、出血を怖がらずにきっちり歯を磨く事で歯茎の腫れが段々と収まってきます。

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上の写真は下顎の写真です。

前歯の裏側全体に歯石が付いていて、レントゲン写真では奥歯の骨はほぼ無く、歯ぐきから膿が出続けている状態でした!

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診断名は『重度慢性歯周炎』

よくある歯周病のタイプの中でも、最も症状が重い状態です。ここまで進んでしまうと治療期間が年単位でかかるようになります。

簡単に治せる歯周病治療はあるのか?

歯周病になる原因は「歯周病菌」です。どんなに医療が発達した現代でも歯周病菌を手軽に倒せる薬はありません!

こういう事はあまり言いたくはないのですが、歯周病に関する勉強をしていない歯科医師も決して少なくありません。

それはそれで、各先生方の専門分野を生かした仕事(入れ歯が専門・矯正が専門など)をしていれば問題無いと思います。

しかし、中には歯周病の症状に痛みが少ない事を良い事に、あたかも簡単に歯周病が治るかのように宣伝をして患者さんを集めそれっぽい事(効果の無いレーザーを当てる、一時的に膿を止める抗生物質を乱用する、効果が疑わしい魔法の水を売りつける)をしている医院もあります。

しかもこれらの治療を行なっている先生自体が勉強不足のため、本気で良い方法だと信じている点も余計たちが悪いです。

しつこいようですが、歯周病を簡単にお手軽に治す魔法の方法はありません!

歯周病を治すにはどんな治療をしたら良いの?

歯周病は感染症です。

ですので、まずは原因となっている感染物質を取り除く治療が基本となります。

この感染物質を取り除く方法は3つに分けられていると考えてください。

① 患者さん自身のケアによる感染除去

歯周病は細菌が原因の病気ですので毎日、徹底的に歯ブラシをして取り除く事が大切です。

細菌は1日に1回、2倍に増えると考えてください。(本当はもっと爆発的に増えます。)

例えば、お口の中に「100匹」歯周病原菌がいる健康な方と、「1000匹」菌がいる歯周病患者さんとでは1日の終わりに口の中にいる細菌数の差は1800匹にもなります。

  • 健康な人:100×2=200
  • 歯周病患者さん:1000×2=2000!!

このまま放置すると次の日にはその差は3600匹にもなることになります。

実際には1日に50回以上分裂をするのでその差は天文学的な数字になります!

ですのでブラッシングはとても重要な治療の一環で、これをするだけで歯ぐきの腫れが取れ、治療が劇的に効率的に進むようになります。

例えば、これは違う患者さんですが歯をみがいただけで腫れていた歯ぐきが引き締りました。

この方は最初にブラッシング指導を行い、ソニッケアーを使用してもらうようにしました。

歯周病専門医がすすめる『オススメ歯ブラシ』10選

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<別の患者さん。歯茎の腫れがブラッシングだけでこれだけ収まります。>

② 歯科医師・歯科衛生士による専門的な感染除去

上の写真のように歯ぐきが引き締まってくれると、治療がスムーズに進みますし、より高度な治療も選択肢に含める事ができます。

患者さんがきちんと歯磨きができるようになると、今度は歯ブラシでは取れない ”硬い汚れ” が出てきます。これが『歯石』です。

特に歯周病患者さんの歯石は ”血液を含んだ歯石” なので、とても硬く真っ黒です。

そして歯ぐきの奥深く見えないところにあります。

下の写真は別の患者さんの抜歯した歯です。黒い塊すべてが歯石。

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フジツボのように歯根に張り付いた歯石を剥がすのはとても難しく少しでも良い条件でしっかりと取るためには腫れ上がった歯ぐきを引き締め、出血が極力無い状態で取りたいのです。

ですから、患者さん自身が家でしっかりと歯を磨き、歯ぐきを引き締めた状態で歯科医院に来るようにして頂きたいのです。

だいたい腫れ上がった歯ぐきがブラッシングで引き締まるのに10日ほどかかります。

歯医者さんに行く日だけ磨いても意味がありません。歯ぐきの状態で普段しっかり磨いているかすぐ分かりますよ!(笑)

歯周病最大の原因『歯肉縁下歯石』とは??

③ どうしても取れない感染源は抜歯して取り除く

残念ながら歯石を取る事ができる範囲には限界があります。

ここで知って頂きたいのは歯石は例え ”ちょっと” 残っていても悪影響を及ぼすという事です。

特に上の写真のように根尖(根っこの先)に付着していると器具が届きませんし、すでに周りの骨が溶けてしまっている可能性が高いため抜歯の対象となります。

私たち歯科医師側も歯を残したい気持ちはもちろんあって、少しでも延命できればとも考えています。

しかし、近い将来抜ける事が分かっているのに、抜かずに被せ物の設計に組み込んでしまうといざ痛みが出て抜きたいとなった時に、せっかく作った被せ物を壊さなければなりません。

さらにまた歯を作るという繰り返しの治療になってしまうので、いつまでも歯医者に通い続けなければならないという状況に陥ってしまうのです。

冷酷かもしれませんが、感染源となっている歯を残す事で他の歯にも影響を及ぼしてしまっては意味が無いのです。

この抜歯基準は各歯科医師の技術力や考え方によってばらつきがありますので、かかりつけの先生とよくご相談されると良いです。

もしもかかりつけの歯医者さんが無い場合はお近くの『歯周病専門医』などが良いのではないでしょうか。

さらに一歩進んだ歯周病治療

抜歯するほどではないけれども通常のお掃除では取りきれない歯石があります。

だいたい平均して ”5㎜” よりも深い場所にある歯石はどんなに熟練した歯科医師、歯科衛生士でも取りのこしが出るという研究結果があります。

今回の患者さんの場合も歯石のどうやっても取れない歯石があったため、歯ぐきを切開して歯石をとる治療に移りました。

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この写真は全部で2回行った手術にうち、上顎の歯周外科手術を行った時の写真です。

この手術には「取り残した歯石を取る」という目的以外に「プラークが溜まりやすいエリアを取り除く」という目的も達成しています。

これによって歯周病の再発を防ぐ事ができるようになるわけです。

同じような治療を下顎も行いました。

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大体ここまで来るのに初診から1年半ほど経っています。

この手術の後、手術した場所が安定するのを待って最終的な被せ物をしていきます。

最終的な被せ物を作る段階へ

手術の後しばらく仮歯で過ごしていただき、歯ぐきの状態が落ち着いてから被せ物と入れ歯を作る段階へと進みます。

歯周病患者さんの場合、歯槽骨が弱り全ての歯が弱っている事が多いですので被せ物も全体的に被せていくケースが歯周病専門医の間では一般的です。

そのため、通常の歯の治療で被せる時よりも工程が複雑になるため、使う道具や工程も1〜3工程多くなります。

「フェイスボウトランンスファー」という顎と頭蓋骨の傾きを割り出すプロセスや「中心位バイト」という上顎と下顎の位置をより顎がリラックスした状態にするための噛み合わせの測定など様々です。

こうする事で見た目がよく、機能性に富んだ補綴物(被せ物)を作る事が出来ます。

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写真は工程の一部分です。

いよいよ採取段階!『ブリッジ&義歯装着』へ!

幾つかの工程を経ていよいよ被せ物をつける時がきました!

私個人的な意見としてはこの瞬間が一番緊張します。良くも悪くもここで決定した状態がこの方の人生で長く続くわけですから気合が入ります。

これが最終的な「ブリッジ」という被せ物を装着して、1週間後の写真です。

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最初の時と比べると歯ぐきの色が断然違うのがわかると思います。

これは画像を処理したわけでもなんでもなく、患者さん自身の意識が変わり一生懸命歯ブラシを続けた効果です。

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<最初の状態>

また綺麗な被せ物をつけた事自体もさらに良い効果があって、「この状態を少しでも長く保ちたい」という気持ちも高まるようです!

こちらは続いて入れ歯を着けたところの写真です。

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保険適応の入れ歯なのでどうしても金具が見える位置に来てしまいます。

しかし「食べる」「噛む」という点では最低限の性能は、ある程度発揮してくれます。

保険の入れ歯は定期的に作り変えの必要性が出てきますが、入れ歯洗浄剤ケア製品を使うことで清潔な状態で長く使用することができます。

もしも金具が見えるものに抵抗があったり、もっと快適な入れ歯を使いたいのであれば自費治療を選択する事になります。

私のオススメは『コーヌステレスコープ』という入れ歯です。

おすすめする理由は、金具が見えないので「見た目がより自然」なのと、将来にわたって「メインテナンスしやすい」入れ歯であるため「長持ちする」さらに「しっかりものが噛めて」揺れている歯を「固定する効果がある」からです。

詳しくは『コーヌステレスコープが歯周治療に有効な理由』をご覧ください。

歯周病治療が終わった後はどうするの??

ここでご紹介した歯周病治療は保険診療を使った方法でおよそ完治までに3年かかりました。

一般的には歯周病の治療後は『メインテナンス』と言って、半年に1度、定期的な状態のチェックをしたり新たに発生した問題が小さいうちに解決するというサイクルに入ります。

この患者さんの場合は重症だったので、普通の方よりも短い3ヶ月に1回の定期検診を行う事にしました。

そして、歯周病患者さんが一番気をつけていかなければならない事は、『根面う蝕』です。

根面う蝕とは「歯の根っこにできる虫歯」の事です。

根面は頭の部分と比べて “10倍” 柔らかいので虫歯になりやすく、歯周病の治療では歯の揺れを抑えるためにたくさんの歯にまたがって被せ物をしている事が多いです。

そのため、どれか1つでも虫歯になると場合によっては被せ物を作り替えないければならない事態になります。

これを回避する策は幾つかあるのですが、残念ながら健康保険の範囲内の治療ではできる事に制限があるので、将来的なメインテナンスのしやすさも考慮して自費治療を選択した方が良いです。

また自分でケアしていく場合はソニッケアー、効率的で効果的にオーラルケアを行う事ができるのでおすすめです。

ソニッケアーに関する詳しい情報はソニッケアーをすすめる10の理由を参考にどうぞ!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

こうしてみるとやるべき事がなんとなくわかったのではないでしょうか。

歯周病は日本歯周病学会が出したガイドラインの中でも糖尿病と関連している事が分かり始めてきている病気なので、全身の病気を防ぐ意味でも早い段階から予防・治療に取り組まれる事を強くお薦め致します!

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