歯周病専門医による症例報告7【インプラント】

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こちらの症例は歯周病というよりは、全顎補綴をメインに治療した症例です。

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患者概要

年齢・性別

53歳 男性

初診日

2008年9月9日

主訴

全体的に治して欲しい

家族歴

母親は特筆すべき全身疾患は無く、父親は胃癌のため数年前に摘出手術を受け、現在経過観察中であるとのことであった。

また母親は義歯等の装着はしておらず、父親は局部床義歯を装着しているとの事であった。51歳の妹がいるが特に全身的な疾患はなく局部床義歯の装着等も無いとの事であった。

全身既往歴

過去に交通事故にて頸部のねんざを患った経験があるとのことであったが、その他特筆すべき全身疾患は無い。

局所既往歴

30代の頃より近隣の歯科医院を定期的に受診しており、主に齲蝕に対する治療を行っていた。1年前に歯の動揺と疼痛のため再び近隣の歯科医院を受診したところ22, 23, 36, 37が保存不可能であると診断され抜歯を行い、その後は多忙であったため欠損部を放置していた。

最近になり仕事に余裕ができたため全顎的に治療したいと考えるようになり来院した。

全身所見

体格は中肉中背で栄養状態は良好であった。過度の飲酒の習慣は無く、喫煙も一切経験が無いとの事であった。職業が茶葉の販売業者との事で、日常的に緑茶を飲む習慣があり、健康面の管理のために緑茶で含嗽を行う習慣もあるとのことであった。

血液検査を含む健康診断を行った結果では特に異常な数値は認められなかった。

歯列・咬合所見

21〜23, 36, 37, 45に欠損を認め、22, 23, 36, 37は欠損補綴がなされておらず残存歯への過重負担が考えられた。また12, 13, 15〜17, 24, 26, 46, 47に不適合補綴物が認められ、12〜15, 17, 24, 46, 47歯頸部に齲蝕が認められた。

バーティカルストップは維持されており、咬頭嵌合位での早期接触および左側方運動時の咬頭干渉は認められなかったが、右側方運動時に小臼歯および大臼歯部での咬頭干渉が認められた。また32〜42に叢生が認められた。前方運動時の咬頭干渉は認められなかった。

歯周組織所見

プラークコントロールは不良で全体の38.1%にプラークの付着が認められた。34, 35の歯周ポケットが歯肉頬移行部と同縁に認められ、12〜17, 23, 26, 34, 44, 46, 47にMillerの分類Class2の歯肉退縮が認められた。

歯周組織検査では歯周ポケットは全て3㎜以下で根分岐部病変も認められず、動揺も認められなかった。バイオタイプはThick Flatであった。

全身的および局所的リスク因子

  • プラークコントロール不良
  • 外傷性咬合

臨床診断

一次性咬合性外傷

治療計画、治療目標(初診時)

①患者教育とモチベーション

プラークコントロールの重要性および欠損放置による外傷性咬合の為害性について認識させる

②感染源の除去

ブラッシング指導、全顎的な歯肉縁上スケーリング、48抜歯およびプラークリテンションファク ターの除去

③再評価と補綴治療

再評価後、13〜26、44〜47に固定性ブリッジの装着、15〜17に全部鋳造冠装着

④外科手術

34, 35頬側歯肉に対する遊離歯肉移植術

⑤義歯装着

36, 37欠損部に対する可撤性局部床義歯の装着

⑥メインテナンスへ移行

歯周外科手術の種類とその術式選択の目的

34, 35の歯周ポケットは2㎜と浅かったがMGJと同縁であり、将来的な歯肉退縮および歯周ポケットの深化が予想された事から遊離歯肉移植術を行い、角化歯肉幅を増やす事を計画した。

治療計画の変更

当初36, 37欠損部には局部床義歯を装着する予定であったが治療の途中から患者の要望が変化し、インプラントによる補綴を行う事となり36部, 37部の狭い角化歯肉幅および浅い口腔前提によりブラッシング不良となる事が予想されたため34, 35遊離歯肉移植時に同時に遊離歯肉移植術を行うことにより口腔前庭の拡大と付着歯肉の獲得を行う計画をした。

治療経過

2008年9月から2008年10月

患者教育、口腔清掃指導、咬合調整、歯肉縁上スケーリング

2008年10月から2009年12月

口腔清掃指導、抜歯(48)、不適合補綴物の除去および暫間被覆冠の作成(15〜17, 13〜26, 44〜47)

2009年12月から2010年12月

13〜26に陶材焼付鋳造ブリッジ装着、15〜17に全部鋳造冠装着

2011年2月

36, 37部に対するインプラント埋入手術

2011年7月

36, 37部に対するインプラント二次手術および34, 35, 36部, 37部に対する遊離歯肉移植術

2011年12月

36部, 37部に対する上部構造装着、バイトプレートの装着

2012年2月から

メインテナンスへ移行

将来的な問題点と対処法

26頬側根面に関しては分岐部が口腔内に露出していたため、清掃性確保のために補綴物のマージンラインを歯肉縁上に設定した。

今後は同部の根面齲蝕およびくさび状欠損防止のため適切なブラッシング圧での歯面清掃を継続して指導していく予定である。

また13に関してもブリッジ装着後、歯肉の退縮が認められたため歯根露出が認められたため同様の管理を行っていく予定である。

メインテナンス時の問題点とその対応

メインテナンス期間中に15の頬側中央部の歯周ポケットの深化とプロービング時の排膿が認められた。SRPを行ったが改善しなかったため15頬側歯肉を剥離し歯根面を確認したところ頬側歯根中央部のセメント質様硬組織の剥離を認め、これを除去しルートプレーニングを行った結果歯周ポケットの消失が認められた。

病理組織所見よりセメント質剥離と診断した。セメント質剥離が生じた原因として咬合性外傷が考えられるため今後もバイトプレートの装着および継続的な咬合の管理を行っていく予定である。

症例写真

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