日本歯周病学会での発表【重度慢性歯周炎患者】

学会発表用.001

先日、日本歯周病学会で発表してきたのでその発表内容を掲載しておきます。

このポスター発表は私が長年みてきた患者さんの集大成で、歯周治療終了後もかなり良好な状態で維持されている患者さんです。

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歯周病学会発表用ポスター

学会発表用.001

【 はじめに 】

大臼歯部の欠損および咬合崩壊を伴った重度慢性歯周炎患者に対し歯周治療を行い, 良好な予後が得られたため報告する.また本症例は患者の同意を得て発表を行っている.

【 患者概要 】

《初診日》

2009年10月2日

《年齢・性別》

53歳 女性

《主   訴》

包括的な歯科治療を希望.

《全身的既往歴》

過度の飲酒習慣や喫煙習慣もなく, 家族内に喫煙している者も いないとの事であった.

《全身的既往歴》

特筆すべき全身疾患は無い.

《家族歴》

父親が骨髄腫のため亡くなっており, 母親は慢性心不全と診断されたが服薬や治療は必要ないとのことであった.両親ともに義歯を装着しているとのことであった.

《口腔内所見》

大臼歯部を中心として歯の欠損が多数認められ, 12, 13, 16, 17, 21~24, 26, 42, 44に6㎜以上の歯周ポケットを認めた.デンタルエックス線所見より上顎左右臼歯部および上顎前歯部に歯根長1/3以上の水平性の歯槽骨吸収像と, 11, 13, 16, 17, 22, 24, 41に垂直性の骨吸収像を認めた.さらに, 16, 17, 26に3度の根分岐部病変を認めた.

【 診断 】

広汎型重度慢性歯周炎

【 治療方針 】

歯周基本治療後, 長期的な歯周組織の安定を図ることを目的としてEMDを用いた歯周組織再生療法およびコーヌステレスコープ義歯を用いた口腔機能回復治療を行う.

【 初診時治療計画概要 】

1.患者教育とモチベーション

( ブラッシングの重要性および欠損歯放置による外傷性咬合の為害作用の認識 )

2.感染源の除去

( ブラッシング指導, 全顎的なSRP, 15, 16, 17, 24, 26の抜歯, プラークリテンションファクターの除去 )

3.暫間固定および治療用義歯の装着

( 13~25, 33~35, 43~45に対するプロビジョナルレストレーション固定, 15~17, 26, 27, 36, 37, 46, 47に対する治療用義歯の装着 )

4.再評価後,残存するポケットに対する歯周外科処置

( EMDを用いた歯周組織再生療法 )

5.再評価後, 口腔機能回復療法

( 上下顎に対するコーヌステレスコープ義歯の装着 )

6.メインテナンスへ移行

【 治療計画の変更 】

当初, 下顎にコーヌステレスコープ義歯を装着する予定であったが, 歯周基本治療後に31~33, 35, 41~43, 45の病的動揺が消失し歯周組織が安定し永久固定の必要は無いと判断したため, コーヌステレスコープでなく可撤性部分床義歯にて口腔機能回復治療を行うこととした.また当初予定した41へのEMDを用いた歯周組織再生療法も再評価後に歯槽骨の平坦化が認められたため行わないこととした.

【 治療経過・治療成績 】

全顎的な口腔清掃指導およびSRPと並行して15, 16, 17, 24, 26を抜去した.再評価後に上顎前歯部および左側小臼歯部に対してEMDを用いた歯周組織再生療法を行った.再評価検査により全顎的に歯周ポケット深さが3mm以下になったことを確認した後, 上顎にコーヌステレスコープ義歯, 下顎には治療方針を変更し, 固定性ブリッジおよび可撤性部分床義歯による口腔機能回復治療を行った.メインテナンスへ移行して18か月が経過しているが, 歯周組織は良好に維持されている.

【 考察 】

上顎は6前歯および小臼歯が1歯残存するのみであり, 歯周組織は歯根長の1/3以上喪失した状態であるが, コーヌステレスコープ義歯による咬合支持および2次固定効果が得られたことにより, 動揺の増加も認められず良好に経過しているものと考えられる.今後もプラークコントロールの維持と, 厳密な咬合の管理を行っていく予定である.

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コメント

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