歯周病専門医試験対策【ケースプレゼンテーション】

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歯周病専門医・試験対策

今回は前回に引き続き歯周病専門医試験対策を行っていきます。歯周病専門医は書類選考に受かった者のみが次の段階のプレゼンテーション試験に進めます。

私の実感としては書類選考で50%落ちて、さらにプレゼンの段階で70%近く落とされます。

つまり最終的な合格率は15%前後、倍率だと7倍弱の難関です。

今回は書類選考に受かったという過程で、次のプレゼンの解説をします。私が実際に試験で使用したスライドと用意した原稿をそのまま載せ、最後に試験監督から突っ込まれたポイントをお話ししていきます。

【患者概要】

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患者概要を示します。

39歳、女性  主訴は歯肉がむずがゆい感じがする。とのことでした。

家族歴に特記すべき事項はなく、既往歴は3年前に子宮筋腫、20年前より花粉症との事でした。

現病歴です。数年前より全顎的に歯肉のむずがゆい感覚を自覚していたが、子宮筋腫や出産などで多忙のため歯科医院を受診する事が出来なかった。

そのため自宅でのブラッシングは念入りに行ってきた。

現在は長男を保育施設に預ける事が出来るようになり時間的余裕ができたため、これを機に全顎的な治療を受けたいと考え来院した。

【現症】

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現症です。

体格は中肉中背で、栄養状態は良好でした。

過度の飲酒習慣は無く、第1子を妊娠するまで10年間の喫煙経験があったが、現在は禁煙に成功しているとの事でした。

小さい子供がいるため生活が不規則となりやすく、十分な睡眠の確保と規則的なブラッシングが行えないとの事でした。

【初診時口腔内写真】

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初診時口腔内写真を示します。

全顎的にプラークの付着が認められ、32〜41の叢生、16, 17, 41, 46, 47の舌側傾斜、45の頬側転移、15の低位咬合と頬側転移が認められました。

咬頭嵌合位での早期接触は認められませんでしたが、左側方運動時に14〜17, 44〜47、右側方運動時に27, 37での咬頭干渉が認められ、アンテリアガイダンスは確立されておりませんでした。

また11, 21, 28が挺出し11, 21は歯槽骨が高度に吸収していたため二次性咬合性外傷が疑われました。

【初診時デンタルエックス線写真】

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初診時デンタルエックス線写真を示します。18, 38, 48の埋伏と46が3根であることが認められ、11〜13, 21〜26, 31〜37, 41〜46の歯根長1/3以上に及ぶ水平性の歯槽骨吸収像と12, 21〜25, 31〜37, 41〜46の歯石様不透過像が認められました。

【初診時歯周組織検査】

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初診時歯周組織検査結果を示します。全顎的に歯の動揺と4㎜以上の歯周ポケットを認め、26、27、33、34、35、37、41、46に7㎜以上の歯周ポケットを認めました。PCRは69.4%でBOPは64.9%でした。

【初診時細菌検査】

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初診時の細菌検査結果を示します。16口蓋側歯周ポケットよりペーパーポイントを使用し歯肉溝浸出液を採取し、細菌検査を行いました。A.a. 、P.i.、P.g.、T.f.全てが検出され特にA.a.が高い比率で検出されました。

【歯周病学会の指針により】

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2008年歯周病の検査・診断・治療計画の指針より患者に対する医療面接より家族内発症は確認出来ませんでしたが、歯石の沈着が比較的少ない事、30歳代にしては歯周組織の破壊速度が急速に進行し、細菌検査から特にA.a.が高い割合で検出されたこと、歯周炎が多数歯に及んでいる事から、、、

【診断】

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広汎型侵襲性歯周炎と診断し、治療方針を口腔内環境の改善および感染源の除去により, 歯周組織の安静化を図る.としました。

【問題点】

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問題点をまとめます.

歯周組織の問題点として

プラークコントロール不良、多数歯にわたる歯根長1/3以上の水平性骨吸収および垂直性骨吸収、36、46の根分岐部病変

咬合関係の問題点として

上顎前歯部での二次性咬合性外傷、側方運動時の臼歯部での咬頭干渉、32〜41の叢生、15〜17, 41, 45〜47の傾斜

その他の問題点として

歯肉溝浸出液サンプルよりA.a. P.g. P.i. T.f.を検出、過去の喫煙習慣、不規則的な睡眠およびブラッシング習慣、慢性的な鼻炎口呼吸の疑い

が考えられました。

【治療計画】

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治療計画を示します。

まず口呼吸に対しては耳鼻咽喉科に通院するよう指導しました。

次に全顎的な徹底したブラッシング指導を行った後、歯肉縁上および縁下のスケーリング・ルートプレーニングを行い、

平行して18、28、38、46、48を抜歯と11、15、21、25齲蝕に対する処置と側方運動時の咬頭干渉の除去およびバイトプレートの装着を行うこととしました。

その後15〜17、32〜41、44〜47の矯正治療と全顎的なフラップ手術を行い、

歯周ポケット改善後、33〜43に連結前装鋳造冠と45〜47に固定性ブリッジを装着する事を計画しました。

【基本治療終了時口腔内写真】

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歯周基本治療終了時の口腔内写真を示します。

初診時と比較しプラークコントロールは改善し、全顎的に歯肉の腫脹も改善している事が認められました。

【基本治療終了時デンタルX線写真】

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歯周基本治療終了時のデンタルエックス線写真を示します。

再SRPまで行いましたが、25、31、36、41、42、46、に歯石様不透過像が認められました。

【基本治療終了時歯周組織検査】

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歯周基本治療終了時の歯周組織検査結果を示します。

初診時と比較し4〜6㎜の歯周ポケット数は減少しましたが、7㎜以上の歯周ポケットは変化無く存在していました。

また深い歯周ポケットの部位を中心としてBOPが認められました。

【PCRの推移】

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PCRの推移を示します。

初診時64.9%であったスコアも回を重ねるごとに減少し、最終的には2.7%まで改善しました。

ブラッシング時に下唇に力が入ってしまうようで、下顎前歯部のブラッシングに苦労している様子でした。

【治療計画の変更】

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この段階で治療計画を見直すこととしました。治療計画の変更点を示します。

当初、歯列不正に対し矯正治療を行う予定でしたが、患者に再度説明したところ経済的な理由から希望しないとのことでしたので行わない事となりました。

また歯質の切削を避けたいと強く希望したため、当初連結前装冠を装着する予定だった33〜43は接着性レジンによる固定で経過を観察する事としました。

また46抜歯後に固定性ブリッジを装着する予定であった部位に対しても、遠心根抜去後、45、46で固定性ブリッジを装着する事としました。

18に関しては、歯周外科時に歯槽骨から歯冠が露出しているようであれば抜歯していくということになりました。

【手術方法と選択基準】

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歯周外科処置時の口腔内写真を示します。

34〜37に対しては垂直性の骨欠損が認められた事から、自家骨移植術を併用してのフラップ手術を選択しました。

自家骨は37遠心よりボーンスクレイパーを用いて採取しました。

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24〜27に対してはフラップキュレッタージを行いました。

この時、27遠心および歯間乳頭部歯肉に対しては、スイニングを行い、歯周ポケットの除去を行いました。

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14〜17に対しては自家骨移植術を併用してのフラップ手術を行いました。

このとき17遠心には18が露出していなかったため、17遠心歯肉のスイニングを行い17遠心の歯周ポケットを除去し、

16、17間の垂直性骨欠損に対して、17頬側歯槽骨よりボーンスクレイパーにて採取した自家骨を移植しました。

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44〜47に対しては46のヘミセクションを行い遠心根2根の抜去を行いました。

抜去した遠心根に歯石が多量に付着しているのが認められました。

また舌側歯槽骨の形態を整えた後、36舌側歯肉を根尖側に移動させて縫合を行いました。

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33、41に垂直性骨欠損が認められたため、33〜43に対しては自家骨移植術を併用したフラップ手術を行いました。

33近心の垂直性骨欠損は1壁性でしたが、骨欠損底部に合わせて歯槽骨整形を行うと32、31が抜歯になってしまう恐れがあったため

自家骨移植を行う事としました。自家骨は33〜43の唇側歯頸部の根尖部より浅く広くボーンスクレイパーにて採取し可能な限り移植しました。

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13から23に対しては感染源の除去を目的としてフラップキュレッタージを行いました。

特に21、23には4㎜の歯周ポケットが認められたため歯冠乳頭部歯肉のフラップを均一に切開する事により

歯周ポケットの除去を行いました。

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45〜47に対しては口腔前庭と角化歯肉幅が狭小であったことから、プラークコントロールが行いづらいと考え遊離歯肉移植術を行う事としました。

勉強不足のため移植片の位置づけが悪く、治癒後に島状に角化歯肉が出来ています。口腔前庭は拡張する事が出来ました。

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32〜35に対しても同様に口腔前庭の拡張と角化歯肉幅の獲得を目的として遊離歯肉移植術を行いました。

【SPT移行時口腔内写真】

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SPT移行時の口腔内写真を示します。

全顎的に口腔清掃状態は良好でしたが、下顎前歯歯間部にプラークの付着が認められました。

【SPT移行時歯周組織検査】

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SPT時の歯周組織検査結果を示します。

17、27、32、33、37、46に、4ミリの歯周ポケットが認められましたが、BOPが認められなかった事と、プラークコントロールが

良好であった事から3ヶ月ごとのSPTへ移行する事としました。

また動揺が14、25、34、35、に認められましたが、歯質の切削し連結冠を装着する事に関して患者の同意が得られなかったため

バイトプレートを再制作し、装着するよう指示しました。

【最新SPT時口腔内写真】

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SPT時の最新の口腔内写真を示します。

良好なプラークコントロールが維持され、全顎的に歯肉の退縮が認めらました。

また46、47ブリッジポンティック下のブラッシングも良好に行われていました。

【最新SPT時歯周組織検査】

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最新SPT時の歯周組織検査結果を示します。

4ミリの歯周ポケットに関しては変化無く、BOPもありませんでした。

プラークコントロールも良好であったため、引き続き徹底したプラークコントロールを行うよう指示しました。

【最新SPT時デンタルX線写真】

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最新SPT時のデンタルエックス線写真を示します。

25、33、36の垂直性骨欠損は改善はしたものの、依然として残存している状態です。

46、47の固定性ブリッジに関しても、良好に維持されている状態でした。

【初診時との比較】

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初診時との比較写真を示します。

初診時と比較し全顎的な歯肉の退縮が認められます。

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咬合面観です。

初診時には顕著に認められた上顎切歯口蓋側の腫脹が改善しています。

また低位咬合であった45が挺出し、舌側に転移している事が認められます。

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初診時との比較のデンタルエックス線写真です。

初診時と比較し全顎的な歯槽骨の平坦化が認められますが、12の皿状骨欠損と25、33、36の垂直性骨欠損が認められます。36根分岐部病変に関しては改善が認められます。

【今後の検討課題】

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今後の検討課題です。

当初治療計画に組まれていた矯正治療に関しては患者の子供が小さく経済的に予測がつかないとの事で今回行わないことと

なりましたが、今後患者の同意が得られれば行っていきたいと考えたいます。

同様に鋳造冠による固定も患者の同様が得られれば行っていきたいと考えています。

また18に関しては現在は歯槽骨内に完全に埋まっていますが、今後萌出して来たり17遠心の歯周ポケット再発の原因となる場合は抜歯を検討しています。

46・47ブリッジは現在は良好に維持されていますが、今後も定期的なエックス線撮影等注意深く経過を追っていきたいと考えています。

試験監督からの指摘

基本的にこのプレゼンで試験監督館からはお褒めの言葉をいただきました。よくここまでオペをして治したねと。

ただ、最初の治療計画を練る際の『原因の追究が浅い』との指摘をいただきました。これでは表面的な原因を追究したに過ぎないから、口呼吸をしているといってもどういう原因で口呼吸をしているのか、どういった種類の口呼吸なのかそういったところまできっちり詰めていきなさいと言うお言葉をいただきました。

専門医試験を受ける際の姿勢

これは先輩からいただいたアドバイスですが、基本的に専門医試験は症例だけではなく、人間性も審査しています。

受験者が向上心がある人物かも見ているので、プレゼンの後に試験監督から指摘を受けても反論してはいけません。

指摘事項を真摯に受け止め、次の診療に生かすアドバイスをいただいているんだと言う姿勢を忘れてはいけません。

さらに指摘を受けた事項をメモしたりすると試験監督の印象はさらに良くなります。これは形だけでなく実際に後日反省する材料として活用しましょう!

あとは敬語を使う、相手を敬うといった基本的なマナーを守るようにしてください。

以上が私が実際に受験してみての流れと私の視点から見てのアドバイスでした〜!

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